2015年1月5日月曜日

森政弘「ロボット考学と人間 -未来のためのロボット工学-」、Ohmsha

森政弘氏といえば、ロボットの先生。それも、理論ではなく、ロボコンを始めた、実践の先生としてよく知られています。ロボットと言えば、機械の話か、知能の話が語られることが多いですが、一般に、ロボットにまつわる知能の話には、底の浅い話が多いように感じられます(そればかりとは言いませんが)。しかし、森先生は仏教に結びついた、哲学的な考察をこの本でなされています。

自分の手で、それこそロボットを作ってきた著者だからこその、自然と人間から学ぶ(ロボットの設計思想)という第1章、仏教に造詣が深い著者だからこそできる(ロボットから考える、人間というもの)、ロボットの哲学の第2章、第3章はさらに哲学的なロボットの世界(ロボット独自の発展を考察する)、第4章は、善悪を見極めながらロボットとの共生に関して、設計への警告(幸せとは何か)、第5章はロボコンに学ぶ(「技道」の哲学)、第6章は、著者の本領発揮とも言える、ロボット工学者へ(創造的な研究のために)という章立てです。

私の研究室では、ロボットを擬人化して、感情を表現する研究を行っています。単に、技術だけ考えるのではなく、一見、無意味にも思えるこうした研究が意味をもつのかどうか、もつとしたらどういうことなのか、少し現実から離れて哲学的思考をすることが必要です。

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