2013年2月20日水曜日

元村有希子「気になる科学」、毎日新聞社

文系出身の彼女だが、理系の学問が好きで、毎日新聞社の科学環境部に所属している。読んだ感じとしては、完全に理系の人のもののようである。科学に関して、確かな目をお持ちである。
この人の個人が随所に出ていて、面白い。このあたりが、文系出身としての面目躍如たるところか。
自称肉食女子とのことだが、お目に掛かりたいものである。私も、人差し指よりも薬指の方が大分長いので・・・(意味がわからない方はご一読を。)

2013年2月17日日曜日

福岡伸一「動的平衡2」,木楽舎

私がドーキンスの利己的な遺伝子を読んだのはいつだっただろう.20年近く前だっただろうか.
個体は,脈々と続く遺伝子の乗り物であって,遺伝子のために便宜的に存在しているというような話だったと理解している.
その後,その手の本は読んでいなかったが,単なる偶然の仕業でここまで高度な進化が遂げられるのかという疑問は常に頭の中にあった.それが,どうもエピジェネティクスという進化の方向をつけるための仕組みがあるということらしい.そうでないと,いくら長い進化の歴史といえども,ここまで構造的なものはできないだろう.
といった話が,具体的な現実を照らしながら楽しく繰り広げられているのが本書である.それにしても,福岡ハカセは博識である.こういう本を読むと,生物に興味が沸く.進路を考えている高校生の諸君も,こうした,読みやすい本をそれぞれの分野で読んで,興味を膨らませて進学してほしいものだ.

2013年2月11日月曜日

福岡伸一「動的平衡」,木楽舎

動的平衡とは生命現象のことである.生命が維持されるというのは,止まった状態ではなく,常に動的に変化していくというのが本質であるという,非常に哲学的に示唆に富む話である.
生物の専門にうとい私には良く理解できないところもあるが,少し勉強してみたいという気持ちになった.

曾野綾子「人生の原則」河出書房新社

この本は,東日本大震災の直後からあとに書かれた,雑誌などに掲載されたエッセイを集めたものである.ものを考える尺度が日本の平均的なところになくて,外国,とりわけアフリカをよく知った上で,生き物としての人間の基準におかれているとでも言うべきであろう.
もっとも,この本に限らず,著者の本はすべてそうであるから,驚きは何もない.いや,これが80才の方の書かれたものであるということについて驚かされる.山本富士子と同じ年であるとか,エリザベス・テイラーと身長・体重共に同じであるとかいう話もあって,女性としての意地・誇りのようなものも感じさせる.

2013年2月10日日曜日

齋藤孝「10分あれば書店に行きなさい」、メディアファクトリー新書

目次、まえがき、あとがき、解説などを読めば本の内容の大部分がわかるといったお話は、「目からうろこ」的な感じがする。学校の先生でありながら、齋藤先生のこうしたお話は、学校では普通教えてくれないお話である。むしろ、解説を読んで本文を読まないとはけしからん、とおしかりを受けることの方が多そうな感じがする。
批判を覚悟(?)で書かれているからこそ、この人のお話は参考になる。
私は、毎日が無理でも、週に一度は書店に行って、1時間ほどさまよっている。こうした私の習慣を後押ししてくれる本に出会った気がした。