2012年9月21日金曜日

鷲田小彌太「漱石の「仕事論」」、彩流社

漱石の書いた物の中にある、仕事論をまとめ上げてある本である。実のところ、漱石の本はなかなか読みにくいので、こうしてあると非常に助かる。
「現在に働け、評価はあとからやってくる」など、なるほどと思うことが多い。自分で漱石の著作からこれらの部分を見つけるのはなかなか大変であろうが。
まさに、この本のタイトルの通り、漱石の仕事観を知りたければ手っ取り早くわかる。

2012年9月16日日曜日

土光敏夫「土光敏夫 私の履歴書」、日本図書センター

岡山出身の財界者で、「メザシ」で有名な土光敏夫氏の自叙伝である。
冒頭にある財政改革の問題では、国債83兆、地方債40兆で、今すぐにでも破産すると書かれている。実はいま、その10倍ほどの借金が積もりに積もっているが、未だにこの問題は決着しておらず、遙かに深刻な問題になっている。今土光氏が生きていたらどういうだろうか。
土光氏は、贅沢をせず、無駄な金を使わなかった。今、国民は、税収の2倍のお金を毎年使っているが、この先、どうなるかは火を見るよりも明らかであろう。いまこそ、土光さんに学ぶことがあるのではないだろうか。
この本の話に戻そう。岡山の関西中学から東京高等工業学校(現東工大)を経て、石川島の社長から東芝社長、経団連会長などを歴任している。そうした社会的ポジションとはうらはらに、海外旅行にいけばお土産すら買わず、金婚式は庭にござを敷いて行い、・・・といった話が出てきて、メザシだけではなくて、本当に「簡素」な生活を心がけておられたことがわかる。

冷蔵庫にはいつの間にかメザシが。

2012年9月15日土曜日

加藤、小山(編訳)「ラーニング・コモンズ」、勁草書房

共同で勉強・作業する場を大学図書館の中に設けるという、ラーニング・コモンズの翻訳論文および国内大学での調査報告となっている。

ラーニング・コモンズはイギリスやアメリカなどで盛んになっている。日本の大学図書館も、乗り遅れまいと、必死の状況である。
ただ、私個人は、国内での、さらには自大学での状況をよく見て、実態に合ったものを作る必要があると思っており、よそのまねをしてもうまくいかないのではないかと思う。そもそも、仕事をする際に、日本では大部屋で、机の間に衝立もない環境が極めて一般的であるのに対し、欧米では1人1人、オフィスになっている。それくらい、仕事のやり方が違うのに、大学で同じ形態が取れるのかと言われると大いに疑問を感じる。また、文系と理系での違いも大きいだろう。理系の研究室は、ある意味、既にラーニング・コモンズである。さあ、どうすべえ?