2012年4月30日月曜日

阿川佐和子「聞く力 心をひらく35のヒント」文春新書

週刊文春の対談をずっと続けている彼女であるが、対談をするときの聞き役としてのお話がいろいろと書かれている。これを読んでわかったことは、たくさんの話を聞く準備をするよりも、1つから3つくらいの質問を考えておいて、あとは相手の話の中から質問することを引き出すということであった。

2012年4月27日金曜日

五木寛之「下山の思想」幻冬舎新書

「トンデモ本」の部分が面白い。常識とは全く異なる説を唱える本のことだ。法然の「選択本願念仏集」が古今東西の「トンデモ本」の中で、最高、最重要な一冊だろう。
とある。おお!岩波文庫にあるではないですか!
でも、俗物の刺激の強いものに浸っている私が、こういう高級なトンデモ本を楽しむことができるのだろうか?

下山の思想の本そのものは、何事も右肩下がりの今の時代を正しく理解せよという本である。五木氏にとって、若いときは登山、年を取ってきてから下山というのが社会の状況だから、彼の成長とちょうど同じで、受け入れやすいのだと思う。私もそうだ。
それを考えると、今の若い人は、自分はこれからなのに、社会が下山状態というのは、とても気の毒に思える。そういう若い人から、新しい思想が生まれてくるのだろう。それに期待したい。

2012年4月24日火曜日

佐伯啓思「反・幸福論」新潮新書

ごまかしをせず,心を裸にしたとき,こういうところに考えが落ち着くというところをずばり書いている.
時にはこういう人の本を読むことが必要である.

2012年4月16日月曜日

ドナルド・キーン「私の大事な場所」、中公文庫

日本に帰化されたキーンさんが、自分の好きな町、自分の日本研究での様々な思い、亡くなって惜しむ人の名前、そして、好きなオペラについて書かれている。80代も終わりに近い著者とはとても思えないしっかりした文章(これを書かれたのは7年ほど前ではあるが)である。日本人には気づいていない日本の良さが、こんなにあるのかと驚かされる。

2012年4月9日月曜日

向田邦子原作「きんぎょ」、文春文庫

この本は、向田邦子の放送台本を、別の人が小説化したものだそうである。道理で、すごく物語性があると思った。3つ話があるが、親子や恋愛といったテーマが、憎いほど生き生きと描かれている。

2012年4月8日日曜日

岸本葉子「ブータンしあわせ旅ノート」、角川文庫

国宝夫妻の来日以来、ブータンは私にとっても親近感のある、興味のある国である。国民の幸福感が非常に高いと聞く。著者は、ブータンに個人旅行で行ったときの話をこの本にまとめている。
幸福感が、いわゆる生活レベルが高いということとは全く異なるということは、読む前から予想していた。しかし、不便な生活に不満を持っていたら、幸福感は生まれないだろう。いったい、どういう社会なのか、非常に私も興味がある。
ブータンでは、人は静かと言っている。日本人と同じく、気遣いがすごいみたいだ。顔も日本人と似ている。ただ、著者は日本人に対して、大きな不満を持っている。他人同士があまりにも無関係で思いやりが失われている日本に対して、黙っていられないという点が、終わりのほうを読むとわかる。 日本の若い人が、外国の家庭に滞在して、うるるんとして帰るというのは、ほほえましいというよりも、そういう感動が全くなくなっている今の日本が少しおかしいのではないか?と私は思っている。