2011年9月29日木曜日

文芸春秋編「向田邦子ふたたび」,文春文庫

この人の航空機事故のことはかすかに覚えている。といっても,その当時,向田邦子を知っていたわけではなく,あまり興味はなかった。台湾での事故だったが,向田さんを,台湾の人と勘違いしていたような気がする。
この本は,向田邦子の秘蔵写真集である。これを見ると,昔を思い出す。昭和4年生まれだから,まだ生きていてもおかしくない。猫がすきだったらしい。毅然とした猫に男を見いだしていたというような記述である。
この人の写真集をみると,格好いいのよね。私は,そういう点に惹かれるのである。

池波正太郎「日曜日の万年筆」,新潮文庫

随筆集である。こういう随筆は,中に書かれているこのことがいいとかいうものではなく,この人の随筆を読んでいると,何だか安心感があるというようなものである。自分の生き方を照らし合わせて読み,新たな発見があれば影響を受け,そうでなくても,何となく心が満たされる。

2011年9月24日土曜日

岸宣仁「ロボットが日本を救う」,文春新書

日本のロボットと外国のロボットとの違いを主として協調した論調になっている。といっても,日本の将来についての全般は悲観的で,日本の技術が世界に残るとすれば最後は「ロボット」というような言い方(具体的な言葉は本のものと合っていないかもしれないので,ご勘弁)である。
その中で,国際標準が日本はなかなか取れないということが書かれており,それはわかってはいるが,どうしたらよいのかなあと思うばかりである。日本人全部が最近こういうことを大変もどかしく思っているに違いない。そのためには外国語が必要であり,もっと世界に出て行って,外国人と対等に渡り合えることが必須なのだが,日本の教育システムでは,どうもそのへんに全く力が入っていないことを私はとてももどかしく感じている。何もしていなくても救うような今の教育を改めて,ちょっと油断すればすぐに外されてしまうということを教える必要があるのでは?

2011年9月20日火曜日

向田邦子「思い出トランプ」,新潮文庫

向田邦子没後30年ということで,最近書店で見かけることが多い,向田邦子の本を読んでみた。短い言葉の中に非常に情景が多く埋め込まれていて,女性らしい本だと思った。いやになるくらい,ものがわかっている人みたいだ。決して楽しい本ではない。人間の裏の面を見透かしたような,ぞっとするような感じがする。

2011年9月12日月曜日

坂村健「不完全な時代」、角川oneテーマ21

日本で、世界標準と違うといって、自虐的な議論をする人が時々あるが、この本では、それは日本の文化だといって強く肯定していて、目からうろこの気分が味わえる。

日本に対して健全な自信が持てる本である。最近、私が好んで読む本は日本を「正しく、プラスに」評価する本である。

2011年9月11日日曜日

田中康夫「神戸震災日記」、新潮文庫

田中康夫氏が、阪神大震災直後から50ccのバイクで、神戸でボランティアに走り回ったときの話である。ボランティアをやったら、多分いろいろと考えることがあるのだろうなと思うが、まさに、そのことが書かれている。
これを読むと、震災後の神戸の様子がよくわかる。