2011年4月30日土曜日

酒井順子「いつから、中年?」,講談社文庫

歯に衣を着せぬ,女性らしい感覚の随筆をお書きになる酒井順子さん.
私よりちょうど10歳年下で,独身.私とは明らかに視点が違うものの見方を知ることができ,この人の本は楽しめます.

2011年4月27日水曜日

八幡和郎「本当は誰が一番?この国の首相たち」,ソフトバンク新書

終戦後のすべての首相(東久邇宮から菅まで)について,10点満点の点数付きで詳細にコメントしている,画期的?な本である.
思った通り低い評価の人,意外に持ち上げている人,国民には高い人気があったがこの本では非常に低い評価の人と,さまざまである.私は,評価をする知識を十分に持ち合わせていないので,それについてコメントすることは控えるが,私も物心ついて最初に覚えているのが池田勇人だから,24人の総理を経験しており,このコメントを見るのは興味深い.

曽野綾子「自分の始末」,扶桑社新書

なんだか遺書のようなタイトルの本である.この本は,曽野さんが今までに本などに書いてきた文で,重要な部分を抜き出して,まるで,論語あるいは座右の格言集のような形でまとめられたものである.もちろん,自分自身が書いたものを自分でまとめられたものである.
この女性の主張は非常にストレートである.何でもやる.ただし,全部自己責任.実力,パワーがあるからこそできるのだろう.
私が旅先で病気をしないこつは,少しだけ利己主義な生き方をしているからだ.人がお酒を飲んでいるときでも「お休み」といってさっさと寝てしまい,「つきあいの悪いやつだ」と思われようが,「あの人も年取った」と言われようが,全く意にもとめずに,自分のペースを守っている.私はもう若い時から夜は早く寝て朝は夜明けと共に活動を始める野生動物型なのである.(p.206)
こういう,非社会活動的な要素を含まない部分での主張を見ると,この人の本質がわかるような気がして,共感できる.

2011年4月21日木曜日

ドナルド・キーン(角地幸男訳)「ドナルド・キーン自伝」,中公文庫

このほど,ドナルド・キーン氏は,大震災のあとに日本に帰化した.名前は知っていたが,あまり詳しくは知らなかったキーン氏のことが気になっていたちょうどそのとき,書店に平積みにされているこの著書を見て,即購入した.
キーン氏はアメリカ人だったが,戦前から日本のことが好きで,戦時中は通訳として日本や日本人とのつながりを持っていた.日本の近代文学に名を連ねる多くの文学者との交流があって,京都とニューヨークを行き来する生活が長く続いた.
彼は,日本語が好き,日本人が好きなのである.決して,無理をして好きになったわけではない.
自分の人生を振り返ってみると,私の人生を左右してきたのは明らかに幸運であって,長い熟慮の末の決断ではなかった.(p.344)
これが本音である.若い頃,日本語と中国語の選択を余儀なくされたときもあったが,結局,彼は日本(語)を選んで前に進んだことが幸運だったと言っていると思われる.

今年で89歳になるキーン氏には,穏やかな余生を送っていただきたい.

2011年4月9日土曜日

フローレンス・アイザックス「「一筆メッセージ」で仕事はうまくいく」,ハヤカワ新書

万年筆にしゃれた便せんを使い,一筆メッセージを書くことを勧めている.確かにいいだろうね.ただ,郵便を使って送るのはなかなかおっくうです.
私はたいていの場合,これからもメールで済ませるでしょうが,ここに書かれているメッセージの内容の書き方は大いに参考になります.
著者は日本人ではないが,中の記載は日本語的.訳者(鈴木淑美)が上手なのでしょう.