2011年12月12日月曜日

林望「謹訳 源氏物語一」祥伝社

私も、日本人としてついに源氏物語を読んでみることにした。といっても、現代語訳であるが。帯に「訳文に不思議な透明感とスピードがあり、それが話を一気に読み進めさせる力となっている・・・」とあるが、たとえ現代語訳であっても一気に読むのは私には無理だ。最近書評が進まないのはこういう本を読んでいるからに他ならない。どれだけ面白いかというと、まだ面白さがわかるところまで行っていない。ようやく「桐壺」を読み終えたところ。桐壺更衣が光源氏の母親だということを知った(そんなこともしらなかったの?と笑わないでね)。

川口純一郎「はやぶさ」式思考法、飛鳥新社

学会でこの人の講演を聞いた。というか、講演会場は満員で、別室でモニタ視聴だった。
それにしても、この人は講演がうまい。常識をはずれた話がどんどん出てくる。笑っている内に時間が過ぎて、講演が終わった。帰ってからこの人の本を探してみたら、すでにいくつも出ていた。そのうちの1冊を買って読んでみた。講演と同じだった。同じなら、講演を聞く方が面白い。

2011年11月12日土曜日

林望「思想する住宅」,東欧経済新報社

家は断然北向きがいい
和室など不要
というから,どんなショッキングなことが書かれているのかと思ったら,この著者らしい,「住むため」の家の理想が書かれていた。日本の家が,南向きに建っていて,それぞれの家が勝手気ままに建てていることを,イギリスのそれとの比較で,(もちろんこの著者のことだから,イギリスの建て方に味方している)書いている。そういう理想をそのまま追求できている著者がある意味うらやましい。
 マンション生活を余儀なくされている私にとって,今後,どういう家に住むのかということは大きな問題であるが,それに全力を傾注するほど,家のことに時間と金をつぎ込みたくないという無精な心もある。

2011年11月9日水曜日

池波正太郎「新編 男の作法」,サンマーク文庫

これは,池波氏がどこかの本で書いてきたことを,編集者がピックアップして解説している本である。道理で,どこかで読んだような文章が多いなあと思った。目次がよい。たとえば,「本はたくさん読んでいくうちにね,おのずから読み方というものが会得できるんですよ。」-本- といった具合だ。あとから思い出したり,もう一度読むのにいい。

林望「臨終力」,ベスト新書

この作家は,それこそ「青春物」的なものを書いていた頃からのファンであり,このタイトルをみてぎょっとした。人生終盤を迎える頃から死ぬときまでの心構えが書かれている。
この人は,もう自分のことを老人と言っている。私よりも7才年配だが,少し早くないか?それとも,還暦を迎えるとそういう気持ちになるのかしらん?
暗い気持ちにはならなかった。60才前の私の今の年齢が人生の最後の最盛期であることを感じた。

2011年10月19日水曜日

向田邦子「男どき女どき」、新潮文庫

肌に慣れた毛玉の出たおととしのセーターを着て、背中を丸めて、こたつに入り、みかんを食べる。うとうとしてきたら、そのまま体を伸ばして畳に寝そべればいい。夢見心地のなかで、風邪をひかないように誰かが綿入れの袢纏をそっと掛けてくれるのが判る-民謡にはそんな気安さがある。(p.152)
どうです、見事な描写ですね。この日本的な光景、見事に見せてくれます。向田邦子にこのところ首ったけです。

2011年10月11日火曜日

向田邦子「女の人差し指」,文春文庫

この人の描写には脱帽させられる.短い言葉の中に多くの情景が描かれ,その中での人の心が絵の中に現れる.
別の本の感想の中に,楽しくはないと書いたが,この本はとても楽しい.おしゃれであるが自分の地の部分を隠さず,いい女ここにありという感じがして,好きだ.

本を読むときは,好きな箇所を折ることが多いが,この本を読んで,5~6箇所も折ってしまった.その中の一つ.

「思いもうけて…」
よそのうちでご馳走になるのは何故おいしいのだろう.「方丈記」か「枕草子」か忘れてしまったが,昔の人はうまいことを言う.
「思いもうけて」食べるからだというのである.思いもうけて,というのは,期待する,という意味であろう.
という一節から始まる.心の準備があるからおいしいのだという.これは何事にも通じると思った.思いもうけて授業に出る,思いもうけて人に会う.いいなあ.逆に,何をやっても面白くない,味気ないというのは,それに向けて準備をしていないからであろう.とても心に残った.

2011年9月29日木曜日

文芸春秋編「向田邦子ふたたび」,文春文庫

この人の航空機事故のことはかすかに覚えている。といっても,その当時,向田邦子を知っていたわけではなく,あまり興味はなかった。台湾での事故だったが,向田さんを,台湾の人と勘違いしていたような気がする。
この本は,向田邦子の秘蔵写真集である。これを見ると,昔を思い出す。昭和4年生まれだから,まだ生きていてもおかしくない。猫がすきだったらしい。毅然とした猫に男を見いだしていたというような記述である。
この人の写真集をみると,格好いいのよね。私は,そういう点に惹かれるのである。

池波正太郎「日曜日の万年筆」,新潮文庫

随筆集である。こういう随筆は,中に書かれているこのことがいいとかいうものではなく,この人の随筆を読んでいると,何だか安心感があるというようなものである。自分の生き方を照らし合わせて読み,新たな発見があれば影響を受け,そうでなくても,何となく心が満たされる。

2011年9月24日土曜日

岸宣仁「ロボットが日本を救う」,文春新書

日本のロボットと外国のロボットとの違いを主として協調した論調になっている。といっても,日本の将来についての全般は悲観的で,日本の技術が世界に残るとすれば最後は「ロボット」というような言い方(具体的な言葉は本のものと合っていないかもしれないので,ご勘弁)である。
その中で,国際標準が日本はなかなか取れないということが書かれており,それはわかってはいるが,どうしたらよいのかなあと思うばかりである。日本人全部が最近こういうことを大変もどかしく思っているに違いない。そのためには外国語が必要であり,もっと世界に出て行って,外国人と対等に渡り合えることが必須なのだが,日本の教育システムでは,どうもそのへんに全く力が入っていないことを私はとてももどかしく感じている。何もしていなくても救うような今の教育を改めて,ちょっと油断すればすぐに外されてしまうということを教える必要があるのでは?

2011年9月20日火曜日

向田邦子「思い出トランプ」,新潮文庫

向田邦子没後30年ということで,最近書店で見かけることが多い,向田邦子の本を読んでみた。短い言葉の中に非常に情景が多く埋め込まれていて,女性らしい本だと思った。いやになるくらい,ものがわかっている人みたいだ。決して楽しい本ではない。人間の裏の面を見透かしたような,ぞっとするような感じがする。

2011年9月12日月曜日

坂村健「不完全な時代」、角川oneテーマ21

日本で、世界標準と違うといって、自虐的な議論をする人が時々あるが、この本では、それは日本の文化だといって強く肯定していて、目からうろこの気分が味わえる。

日本に対して健全な自信が持てる本である。最近、私が好んで読む本は日本を「正しく、プラスに」評価する本である。

2011年9月11日日曜日

田中康夫「神戸震災日記」、新潮文庫

田中康夫氏が、阪神大震災直後から50ccのバイクで、神戸でボランティアに走り回ったときの話である。ボランティアをやったら、多分いろいろと考えることがあるのだろうなと思うが、まさに、そのことが書かれている。
これを読むと、震災後の神戸の様子がよくわかる。

2011年8月20日土曜日

武田知弘「ワケありな国境」、ちくま文庫

日本の回りでの国境紛争が絶えない昨今である。この本を読むと、世界の我々の知らない国境紛争や歴史的な紛争が説明してあって、勉強になる。

2011年6月27日月曜日

池上彰「伝える力」、PHPビジネス新書

この人は、ものを伝えるプロですね。さすが週刊こどもニュースを長年担当された方です。
自分が当然と思っていることが他人にはそうではないということは日頃から強く感じていることです。直前に読んだ、リンボウ氏の本と同じ趣旨の話も書かれています。
この本をバイブルとして、折に触れて参考にしていきたいと思います。

2011年6月25日土曜日

林望「「時間」の作法」、角川SSS新書

単なるハウツーものではない。リンボウ先生の処世術が盛り込まれていて、実に面白い。
やはりこの年になると、時間の使い方というものが気になるのですね。

ご参考までに、章立てをご紹介しましょう。
第1章 「忘れる」ことに備える
A4の紙を持ち歩いて、いつでもメモするという方法が紹介されています。
第2章 いかに迷わず「書く」か
年賀状も返事だけで数百通ですか。すごいなあ。
第3章 誤った「読み方」をしない
本の読み方のご紹介。
第4章 無駄なく「話す」こと
スティーブジョブズを取り上げ、リンボウ先生も原稿を読まない話し方をお勧め
第5章 「英会話」を最短で覚える
現地でアパート探しをすれば、英会話は身につく。
第6章 何事にも「凝らない」こと
仕事ができる人の机は片付いていなくて良いという安心するお話
第7章 「一日」の中で時間節約を重ねる
ヨーロッパで生活をした人らしい時間感覚です。
第8章 「人生」という枠で時間を見る
若い人に読ませたい章です。私くらいの年になると手遅れ?
第9章 身も心も「丈夫」であること
60代になった人らしい一章です。

2011年6月23日木曜日

曾野綾子「「いい人」をやめると楽になる」、祥伝社黄金文庫

別に不良になれという話ではない。いい人をやめるとは、自然体であるというような意味である。
人によっては、ここで書かれている「いい人をやめる」ことはかなり苦痛を伴うものかもしれない。
ますますこの人のファンになった。 自然体で生きたい。

2011年6月11日土曜日

石英輔「江戸人と歩く東海道五十三次」,新潮文庫

旅籠と木賃宿の違いを知った。考えてみたら、そういうことを何も知らなかったことを自覚した。
江戸時代、多くの人が伊勢参りに行っていたらしい。私の古里は山口だが、そんなところからも、伊勢に行っていたのだろうか。残念ながら、山陽道については何も書かれていないが、遠い昔のことに思いを馳せることができた一冊であった。

2011年5月29日日曜日

呉善花「私は、いかにして「日本信徒」となったか」、WAC

韓国済州島ご出身の著者が、留学生として日本に来てから、いろいろと思い悩み、日本と韓国について考え抜いて、拓殖大学で教授となり、日本に帰化した現在までの間の心の変遷や葛藤が述べられている。実際に体験しての話だから、非常にリアリティがあり、よくわかる。
今後は、日本復興に尽くし、新しい日韓の関係が構築されることを期待すると結ばれている。実現を祈りたい。

2011年5月23日月曜日

小泉武夫「不味い!」、新潮文庫

不味いものの解説であるが、当然、それの裏には著者がうまいと感じるものが書かれている。
福島県のご出身の教授で、魚が大好きとなれば、今回の原発事故で、おいしい魚が食べられなくなったのではと大変心配になる。この人は、蛇でも何でも、とにかく食べているところがすごい。この人の写真を見ると大層グルメと思われるが(意味、わかるよね?)、私もうまい物好きだから、思いっきり没入できる。
しばらくこの人の本に虜になりそうだ。

2011年5月8日日曜日

三浦朱門「「老い」を愉しめる生き方」、WAC

奥様の曾野綾子は何冊か読んでいるし、その気持ちよいストレートさが好きだ。そこで、書店に平積みされていた、ご主人のほうもちょっと読んでみることにした。
ご主人のほうは、柔らかい感じがする。それは、奥様の影響もあるのかなと思った。自分を無理して大きく見せようとせず、好きなことをやって老いを楽しむというのがこの本の趣旨である。
老後の世界については、この頃少し考えることがあるが、まだ少し先のこととして、今は今のことに懸命に生きたいと感じた。

2011年4月30日土曜日

酒井順子「いつから、中年?」,講談社文庫

歯に衣を着せぬ,女性らしい感覚の随筆をお書きになる酒井順子さん.
私よりちょうど10歳年下で,独身.私とは明らかに視点が違うものの見方を知ることができ,この人の本は楽しめます.

2011年4月27日水曜日

八幡和郎「本当は誰が一番?この国の首相たち」,ソフトバンク新書

終戦後のすべての首相(東久邇宮から菅まで)について,10点満点の点数付きで詳細にコメントしている,画期的?な本である.
思った通り低い評価の人,意外に持ち上げている人,国民には高い人気があったがこの本では非常に低い評価の人と,さまざまである.私は,評価をする知識を十分に持ち合わせていないので,それについてコメントすることは控えるが,私も物心ついて最初に覚えているのが池田勇人だから,24人の総理を経験しており,このコメントを見るのは興味深い.

曽野綾子「自分の始末」,扶桑社新書

なんだか遺書のようなタイトルの本である.この本は,曽野さんが今までに本などに書いてきた文で,重要な部分を抜き出して,まるで,論語あるいは座右の格言集のような形でまとめられたものである.もちろん,自分自身が書いたものを自分でまとめられたものである.
この女性の主張は非常にストレートである.何でもやる.ただし,全部自己責任.実力,パワーがあるからこそできるのだろう.
私が旅先で病気をしないこつは,少しだけ利己主義な生き方をしているからだ.人がお酒を飲んでいるときでも「お休み」といってさっさと寝てしまい,「つきあいの悪いやつだ」と思われようが,「あの人も年取った」と言われようが,全く意にもとめずに,自分のペースを守っている.私はもう若い時から夜は早く寝て朝は夜明けと共に活動を始める野生動物型なのである.(p.206)
こういう,非社会活動的な要素を含まない部分での主張を見ると,この人の本質がわかるような気がして,共感できる.

2011年4月21日木曜日

ドナルド・キーン(角地幸男訳)「ドナルド・キーン自伝」,中公文庫

このほど,ドナルド・キーン氏は,大震災のあとに日本に帰化した.名前は知っていたが,あまり詳しくは知らなかったキーン氏のことが気になっていたちょうどそのとき,書店に平積みにされているこの著書を見て,即購入した.
キーン氏はアメリカ人だったが,戦前から日本のことが好きで,戦時中は通訳として日本や日本人とのつながりを持っていた.日本の近代文学に名を連ねる多くの文学者との交流があって,京都とニューヨークを行き来する生活が長く続いた.
彼は,日本語が好き,日本人が好きなのである.決して,無理をして好きになったわけではない.
自分の人生を振り返ってみると,私の人生を左右してきたのは明らかに幸運であって,長い熟慮の末の決断ではなかった.(p.344)
これが本音である.若い頃,日本語と中国語の選択を余儀なくされたときもあったが,結局,彼は日本(語)を選んで前に進んだことが幸運だったと言っていると思われる.

今年で89歳になるキーン氏には,穏やかな余生を送っていただきたい.

2011年4月9日土曜日

フローレンス・アイザックス「「一筆メッセージ」で仕事はうまくいく」,ハヤカワ新書

万年筆にしゃれた便せんを使い,一筆メッセージを書くことを勧めている.確かにいいだろうね.ただ,郵便を使って送るのはなかなかおっくうです.
私はたいていの場合,これからもメールで済ませるでしょうが,ここに書かれているメッセージの内容の書き方は大いに参考になります.
著者は日本人ではないが,中の記載は日本語的.訳者(鈴木淑美)が上手なのでしょう.

2011年3月30日水曜日

池波正太郎「あるシネマディクトの旅」,文春文庫

まずは,大震災で,しばらく私自身自分を見失ったような感覚で,本も読めず,まともなことがここ2週間あまりできていないことを告白する.そのため,ここにしばらく書くこともできなかった.震災の復興までは遠い道のりなので,自分ができることを模索することも,時間をかけながら長期戦と覚悟し,少しでも早く普通の生活を取り戻すことが,日本のためには重要と思う.そこで,本サイトも復活することとした.以下はその第1号である.

池波氏はそのときまでフランスに行ったことがなかったのに,映画で何十回も「パリに来ている」ので,東京を歩くようにパリを歩けるという.この本を読むと,外国経験もなく,言葉もしゃべれないのに,まさに堂々と,フランス旅行をまるで日本で旅行をするのと同じくらいに,いや,もっと楽しんでいる.この本を読みながら,私もフランスを旅行したような気分になった.
いつも,おおらかな気分で,かつ繊細に物事を見ながら旅行をする池波氏は,「ホンモノの文化人」だとつくづく思う.

2011年3月1日火曜日

福澤諭吉(斎藤孝訳)「現代語訳 学問のすすめ」,ちくま新書

原著を読む時間も気力も能力もないが,斎藤先生訳は非常に読みやすい.大学教授たるもの,学問のすすめは必読書と考え,手に取ってみた.
私は,博士号を取得後は「役に立つかどうかよくわからないもの」,「学問のための学問」は基本的にしないことにしている実学指向の人間であるが,万札の福澤諭吉も,同様のことを書いているのには心を強くした.

†役に立つ学問とは何か
・・・こうした実用性のない学問はとりあえず後回しにし,一生懸命にやるべきは,普通の生活に役に立つ実学である.(p.10)
 章のタイトルをあげると,以下のようになっている.
初編 学問には目的がある
第2編 人間の権理とは何か
第3編 愛国心のあり方
第4編 国民の気風が国を作る
第5編 国をリードする人材とは
第6編 文明社会と法の精神
第7編 国民の二つの役目
第8編 男女間の不合理,親子間の不条理
第9編 よりレベルの高い学問
第10編 学問にかかる期待
第11編 美しいタテマエに潜む害悪
第12編 品格を高める
第13編 怨望は最大の悪徳
第14編 人生設計の技術
第15編 判断力の鍛え方
第16編 正しい実行力をつける
第17編 人望と人付き合い

くだらない本を読むよりずっとおもしろい.是非読んでみられることをお勧めする.

2011年2月26日土曜日

越川禮子「江戸の繁盛しぐさ」,日経ビジネス人文庫

繁盛と仕草は大きな関わりがあるに違いないと思っていたが,ちょうど面白そうなタイトルの本を見つけたので,買って読んでみた.
江戸絶賛の著者で,薩摩あたりが田舎者と言わんばかりに書いてあるから,長州人である私は少し気になったが,たしかに,薩長人は江戸の人間から見ると,決して「粋」ではないだろう.まあ許そう.江戸の,スマートなところ,粋なところ,インテリジェントなところ・・・はよくわかった.池波正太郎を少し読んだりしていたので,最近は江戸も私の興味の対象となっている.
本としては,同じ話が何度も出てきたりするところはいただけない.

2011年2月3日木曜日

佐藤隆介「池波正太郎直伝 男の心得」,新潮文庫

池波正太郎の側近だった著者の随筆であるが,池波正太郎の影響が色濃く出ている.酒の飲み方,人とのつきあい方,金の使い方,妻との関係,すべて「男らしい」.
酒は飲む楽しみのために飲む.いつでもそういう酒でありたい.陰々滅々と飲んでいるだけで話題もなければ何もないという相手では,一緒に飲んでも時間の無駄である.飲めばカラオケという手合いも願い下げだ.愉快に酌み交わして談論風発,学生時代の気分に帰って語り合い,時間のたつのを忘れる・・・こういう酒が理想的だ.そのためにはお互いに,それなりの教養や知識や人生経験の積み重ねがいる.酒道は生涯稽古である.(p.48)
酒に誘われるような人間になる.これが理想.

2011年1月21日金曜日

池上章「知らないと恥をかく世界の大問題」、角川SSC新書

次の覇権国家はどこなのか。納得させてくれるように書かれている。中国が強くなるのは、必然性があってのことらしい。問題は、中国の共産党がほかの組織の上にあってすべてをコントロールできるようになっており、民主国家でないこと。
日本での政権交代があったのは、民主主義という視点からは非常に重要だったということだ。せっかくの民主党政権、国民に愛想をつかされないよう、がんばってほしいものだ。そして、民主党独裁では意味がないので、他の政党もしっかりと力をつけることが必要だろう。
文句を言っているばかりではこの国はよくならない。そこのところを、野党は理解しているのか?新しい流れをしっかり理解し、後押しするのが国民の役割だと感じた。
自分の意見も決めにくいこうした現代社会の抱える問題に、一つの、信用できる視点を与えてくれる本である。