2010年7月25日日曜日

北岡孝義「スウェーデンはなぜ強いのか」、PHP新書

消費税もものすごく高いが社会福祉がすばらしい国として知られているスウェーデンである。私は20年来のスウェーデン人の友人を持っており、この国の人の様子は彼を通じてイメージはある。しかし、この国の人がなぜこんなに高い消費税にも関わらずこんなに前向き(私はそう思っている)のか、不思議に思っていた。
この本にはその答えが書いてある。「国民の家」のような国家理念があるとある。そうだよなあ。高い税金を払っていても、そのお金は将来自分に返ってくると信頼でき、社会保障のすばらしさも知っているからできるのだよなあ。
政権は中道左派と中道右派が交代してやっているが、ほとんどの時期は左派が政権を握ってきたという。
スウェーデンも、ヨーロッパの国々に囲まれて、決して舵取りは容易ではないはずである。しかし、信念を持って社会が動いている。社会に皆が参加している。あの国の大学生はとても賢くて、話もきちんとできる。そして、我々の方がよほど長時間仕事をしているにも関わらず、アウトプットはあちらのほうが遙かに多くてうまい。この点はとても悔しい。

2010年7月19日月曜日

遠藤諭「日本人がコンピュータを作った!」、アスキー新書

黎明期のコンピュータは日本人のお家芸だったとも言えそうな内容である。それが、いまや、ハード、ソフトともに、グローバルスタンダードとばかり、アメリカの手中に収まったのは非常に残念である。

コンピュータの歴史で、我々日本人であっても見聞きするのは、アメリカやイギリスのコンピュータばかりである。コンピュータの世界で日本人がこんなに貢献していたとは知らなかった。我ながら恥ずかしい限りである。こういう本を使って、「コンピュータサイエンス」は教えるべきだと考える。

2010年7月7日水曜日

アルボムッレ・スマナサーラ「怒らないこと 役立つ初期仏教法話1」サンガ新書

「私は男だ」「若いのだ」「中年だ」「老人だ」「私は課長だ」「社長だ」「部長だ」。よく考えて見れば、ぜんぶたいしたことではないでしょう?(p.54)
そのとおり。そして、修行をしている人は、そういう悟りの境地(というほどでもないかもしれないが)に達している人もある。しかし、凡人は、ある程度、物資に恵まれていないと、なかなか難しいような気もする。逆に、凡人であっても、ある程度「物」に恵まれれば、達成可能なレベルのようにも思われる。
残念なのは、今の社会では、それほどの貧困ではないのに、こういうことに拘っている人が多いような感じもある。ものに拘る生活をある程度したら(そういう生活をせずにいきなりこういう気持ちになれればすばらしいが)、早く、達観できるようになることが幸せにつながるのかもしれない。などということを感じた。
おっと、この本のテーマは「怒らないこと」だ。悪いことをした人に怒らない。ではどうするか?これが難しいと思っていたら、この本に答えがあった。「無視する」ことらしい。なるほど・・・

熊田忠雄「そこに日本人がいた!」新潮文庫

その地に初めて渡った(あるいはそれに近い)日本人のことが書かれている。日本人も、昔は勇敢だったと思うと同時に、現状がなさけなく感じられる。
商売、売春、たまたま流れ着いた、等々理由はいろいろであるが、辞書すらろくになかっただろう時代に、着物姿で渡った日本人のたくましさが感じられる。

一通り読んだが、何度も読み返したいと思う本である。