2010年5月22日土曜日

池波正太郎「男の作法」,新潮文庫

うるさい老人の人生論みたいなタイトルの本ですが,実際その通りです.うるさい老人といっても,格好いい老人と,小うるさい・うざい老人とありますが,池波正太郎氏は前者の,大変ダンディな男性だと思います.
私も,こういう人の言うことに同調するということは老人と人生観を一にする,老人(になりかけ)の一人と言うことにもなるかもしれませんが,少なくとも,人に言う前に自分が実践していることがたくさんあって,それは男の作法にかなったことをしていると自負してもいいのではないかと思うのです.

2010年5月5日水曜日

筑紫哲也「若き友人たちへ -筑紫哲也ラスト・メッセージ」、集英社新書

いろいろといるニュースキャスターの中でも、一番気に入っていた筑紫哲也さん。

考えてもみてください。日本が自分たちの選択をしたいと思った時、自国の首都の首根っこを押さえるように、外国の軍隊が強烈な形で存在しているのですよ。(中略)
それで独立した国と言えるのか。そのことすら議論しない。これはいかにものを考えない国民であるとしても、そうとうノー天気じゃないかと思うのです(p.183)。

もし筑紫哲也がいま生きていたら、普天間の問題をどのように解釈されているだろうか。鳩山さんは、最初の勢いだけよくて、中折れしたけども、もっと突き詰めて、日本の安全を考えてほしかった。米軍って、外国の軍隊ですよ。鳩山を馬鹿にしている人たち、首根っこを米軍に締めあげられている日本を一緒にあざけ笑っているが、君たちも日本人でしょうが。確かに迷走は迷惑な話だが、それを笑ってすむ話ではない。

2010年5月3日月曜日

太田和彦「自選ニッポン居酒屋放浪記」,新潮文庫

なんだか,自分でも居酒屋を放浪しているような気分にしてくれる本である.
 この著者のようには,居酒屋のマスターや客と話をしたりすることは得意ではないので,余計にそういう気分がすてきな本である.
中でも好きだったのは,那覇の記事だった.自分が,沖縄が一番好きだからかもしれない.ああ,また早く沖縄に行きたい.

2010年5月1日土曜日

車谷長吉「世界一周恐怖航海記」,文春文庫

強烈な好き嫌いの持ち主である.特に嫌いなのが,弱い者の気持ちのわからない人間,権威主義みたいなもののようである.タイトルの何が恐怖なのかと思ったが,どうも船の中にいる千人ほどの人間恐怖のようだ.

貧しい人たちに横柄な態度を取る,傲慢な,醜い日本人.お口のすごい女たち.金の力だけを信じているのだ.ああ,厭だ.

この部分,私も共感できる.