2010年11月13日土曜日

日本エッセイスト・クラブ編「’07年版ベスト・エッセイ集」、文春文庫

まさに、短いエッセイが61個集められているエッセイ集である。面白いものもあれば、つまらないものもある。いろいろである。それらを集めたものとしてのエッセイ集としては、面白いとは思わなかった。

2010年11月3日水曜日

新渡戸稲造「武士道」、PHP文庫(和訳)

かの有名な、武士道を久しぶりに紐解いた。日本人、ここにあり、という感じがする。大学でも、武士道という科目を設けてみてはいかがでしょう。教えることのできる人があるのかどうかわからないが・・・
外国からさんざんつけこまれ、われわれは自衛のまともな手段すらもたず・・・
こうした状況の中でやっていくには、強力な精神力が必要だと思う。武士道で世界の常識を変える。いや、すくなくとも、日本人の精神力を鍛えなおす。これしかない。

2010年9月26日日曜日

藤原正彦「おおいなる暗愚」、新潮社

普段あまり単行本は買わないが、何人か、あまり考えずに買う人がある。それは、この藤原正彦や、林望などである。
最近この人のものはジョークが多くなってきて、それを知らない人は、ナルシストと思うかもしれないが、そういうわけではない。
いろいろな身近なテーマが、歯に衣を着せずに手短にしかもわかりやすく書かれており、なるほどと思う部分も多い。「愚かしき官僚叩き」は、いま流行りの政治主導に異論を唱えている。

政治家は官叩きに走るより、官僚の無法な天下りや優秀なものにありがちな狡猾傲慢を厳しく警戒しつつ、ポピュラリズムとは無縁な官僚を知恵袋として、共に手を携え国に奉仕してほしい。優秀な人材はどの国においても数が限られており貴重だ。叩き潰す余裕などないのだ。(p.171)

同感だ。また、最近の日本の外交の問題点も、ことが起こる前から的確に捉えている。

2010年9月8日水曜日

武光誠「「型」と日本人」、PHP新書

読み始めて、いきなり違和感のある表現にあたった。
がいして欧米人は、身内や友達をたいせつにしても、行きずりの他者にまで細かい気配りをする発想はない。(p.13)
これには異論がある。今の日本人がそうなのではないだろうか。ヨーロッパでは、行きずりの人に対しても親切に道を教えたり、ドアを開けてあげたり、ベビーカーを抱えてあげたり、枚挙に暇がない。振り返って日本ではどうだろうか。知らない人には何があろうと知らん顔。目の前で交通事故が起こってもほとんどアクションを起こす人などない。もちろん、町で先に挙げたような優しさを堂々とする人など非常に少ない。
そのために多くの日本人が、人の気持ちを重んじるか、論理を重んじるかで悩んでいるように思われる。(p.14)
う~ん、どちらも重んじない人が大多数ですよ。その選択というのは、現代の日本人の悩むポイントではないだろう。どういう側面を見てこういうことを著者は書いているのか、かなり最初の著者への波長あわせに苦しむ。
誰もが、電車で老人に席を譲るといった小さな善行を見てすがすがしい気分になる。このような、日本人の通りすがりの他人に対する心暖まる美しい行動に感激する気持ちは、美しい花を愛でる感情に近いものであろう。(p.16)
先ほど書いたように、電車で老人に席を譲る人は、日本は諸外国、とりわけ、ヨーロッパや韓国などに比べてずっと少ない。「いや、それを見ている人の気持ちのことだよ」ということであれば、外国人がそういう場を見て、同じように感じないということだろうか。この、導入部はなかなか共感が難しい。
あまり一般的に認められないことを当たり前のように書くからには、もっと説明がほしいと思う。

追記:そのあとを読み進めようとしましたが、ちょっと怪しく感じるところが多く感じます。たとえば、「縄文人は円形に住居を構えていたから人間すべてが平等と考えていた」というくだり、 私は素人ですから、円形に住居を構えていたからということだけで、人間すべてが平等と考えていたと信じることは困難です。専門的な視点があるのであれば、たとえ素人向きの本であっても、納得のいく説明が必要と思います。全体がこういう論理で書き進めてあるので、理解をしていくのに抵抗があります。

ということで、とりあえず、この本を読破することは断念しました。

2010年9月5日日曜日

布施克彦「男なら一人旅。」、PHP新書

もともと一人旅が好きだった著者が、50代で商社を辞めて作家になった。そして、一人旅を再開した。他の人がどんな一人旅をするのか、それを知るのは面白い。自分でも、一人旅をしてみたいと思う気持ちになる。


「旅の定義」などという部分が前半出てくるが、こういう部分は邪魔だ。教科書を読んでいるのではない。お節介というものだ。その辺を抜きにして読めば、それなりに楽しい。

2010年9月4日土曜日

松田忠徳「温泉に入ると病気にならない」、PHP新書

温泉教授として名高いらしい著者の「温泉免疫術」である。掛け流しの天然湯がいかによいか、シャワーはなぜだめか、かなりの医学的な知識を元に書かれている(と思われる)。
少なくとも、こちらが持っている温泉や発癌に対する知識と矛盾しないので、安心して読める。

それはそうと、湯上がりの冷たいビールは体に良くないらしい。体を中から冷やすことになるからだ。折しも、今日、同じことをテレビで言っていた。冷たいビールを飲むと、体が防衛反応として暖めるために、内臓脂肪を蓄えるらしい。
ビールは、カロリーだけ見ると大したことはなさそうに思えるが、やはり太る原因になるようだ。特に内臓脂肪がたまるというのはよくない。
これからは、暑いときも焼酎のお湯割りと行くか。ああ~

2010年9月2日木曜日

ビートたけし「たけしの最新科学教室」、新潮文庫

たけしと、科学の諸分野の第一人者との対談集である。
  • ロボット
  • 植物
  • 気象
  • 天文
  • 遺伝子
  • 恐竜
  • セミ
  • 地球環境
の分野の先生が続々と出てくる。この中の「植物の達人」こと、田中修先生は直接知っており、今日、この本のことを言ったら、「もう売り出されているんですか?」とビックリされた。この先生の弁によると、たけしさんは次から次へと話が出てきて、「本当にすごい。自分の本をしっかり読んで対談されている」ということだった。私も、この本でカバーする広い範囲で、非常に専門的な問いかけをたけしさんがしているのを見て、すごい人だと改めて感心した。たけしさんに文部科学大臣にでもなってもらいたい。

2010年8月29日日曜日

斉藤美奈子「それってどうなの主義」,文春文庫

政治,社会風潮,歴史,その他,日頃いろいろと考えることについて全般に亘って,「それってどうなの」という問いかけをし,本質を見抜いたコメントを展開している.
この人の本は初めてだが,「目から鱗」といっていい本だと思った. ただ,自分ではここまで思ったとしても書けないと思う.

2010年7月25日日曜日

北岡孝義「スウェーデンはなぜ強いのか」、PHP新書

消費税もものすごく高いが社会福祉がすばらしい国として知られているスウェーデンである。私は20年来のスウェーデン人の友人を持っており、この国の人の様子は彼を通じてイメージはある。しかし、この国の人がなぜこんなに高い消費税にも関わらずこんなに前向き(私はそう思っている)のか、不思議に思っていた。
この本にはその答えが書いてある。「国民の家」のような国家理念があるとある。そうだよなあ。高い税金を払っていても、そのお金は将来自分に返ってくると信頼でき、社会保障のすばらしさも知っているからできるのだよなあ。
政権は中道左派と中道右派が交代してやっているが、ほとんどの時期は左派が政権を握ってきたという。
スウェーデンも、ヨーロッパの国々に囲まれて、決して舵取りは容易ではないはずである。しかし、信念を持って社会が動いている。社会に皆が参加している。あの国の大学生はとても賢くて、話もきちんとできる。そして、我々の方がよほど長時間仕事をしているにも関わらず、アウトプットはあちらのほうが遙かに多くてうまい。この点はとても悔しい。

2010年7月19日月曜日

遠藤諭「日本人がコンピュータを作った!」、アスキー新書

黎明期のコンピュータは日本人のお家芸だったとも言えそうな内容である。それが、いまや、ハード、ソフトともに、グローバルスタンダードとばかり、アメリカの手中に収まったのは非常に残念である。

コンピュータの歴史で、我々日本人であっても見聞きするのは、アメリカやイギリスのコンピュータばかりである。コンピュータの世界で日本人がこんなに貢献していたとは知らなかった。我ながら恥ずかしい限りである。こういう本を使って、「コンピュータサイエンス」は教えるべきだと考える。

2010年7月7日水曜日

アルボムッレ・スマナサーラ「怒らないこと 役立つ初期仏教法話1」サンガ新書

「私は男だ」「若いのだ」「中年だ」「老人だ」「私は課長だ」「社長だ」「部長だ」。よく考えて見れば、ぜんぶたいしたことではないでしょう?(p.54)
そのとおり。そして、修行をしている人は、そういう悟りの境地(というほどでもないかもしれないが)に達している人もある。しかし、凡人は、ある程度、物資に恵まれていないと、なかなか難しいような気もする。逆に、凡人であっても、ある程度「物」に恵まれれば、達成可能なレベルのようにも思われる。
残念なのは、今の社会では、それほどの貧困ではないのに、こういうことに拘っている人が多いような感じもある。ものに拘る生活をある程度したら(そういう生活をせずにいきなりこういう気持ちになれればすばらしいが)、早く、達観できるようになることが幸せにつながるのかもしれない。などということを感じた。
おっと、この本のテーマは「怒らないこと」だ。悪いことをした人に怒らない。ではどうするか?これが難しいと思っていたら、この本に答えがあった。「無視する」ことらしい。なるほど・・・

熊田忠雄「そこに日本人がいた!」新潮文庫

その地に初めて渡った(あるいはそれに近い)日本人のことが書かれている。日本人も、昔は勇敢だったと思うと同時に、現状がなさけなく感じられる。
商売、売春、たまたま流れ着いた、等々理由はいろいろであるが、辞書すらろくになかっただろう時代に、着物姿で渡った日本人のたくましさが感じられる。

一通り読んだが、何度も読み返したいと思う本である。

2010年6月25日金曜日

内田百閒「第一阿房列車」,新潮文庫

岡山に住みながら,内田百閒のことを何も知らなかった.彼が随筆家であったことさえ知らなかった.
我ながら,「阿房」であると思う.
訥々として,融通の利かない堅物のような印象を受けた.

用事がないのに出かけるのだから,三等や二等には乗りたくない.汽車の中では一等が一番いい.私は五十になった時分から,これからは一等でなければ乗らないと決めた.

こういう文章で始まるこの本,何だか面白そうな印象ですよね.その印象は私にとっては多少裏切られるのですが,こういう旅行,是非ともしてみたいと思うことは確かです.

2010年6月7日月曜日

中島義道「エゴイスト入門」、新潮文庫

この本は、タイトルを見て買ったのではない。この著者だから買ったのだ。たいてい読んでいる。日本人的な感覚でいうと、確かにすごいエゴイストであろう。

みんなと同じように感じ、みんなと同じように怒ることはとても簡単なことだ、だからほとんど価値のないものだ、いやそれ自体害を及ぼすものだ、ということである(p.174)。

この一節の意味が知りたい人は、中島氏の書物を読むとよい。

2010年6月6日日曜日

太田和彦「超・居酒屋入門」、新潮文庫

この人の本を2・3冊読んだせいで、居酒屋に対する認識が変わった。これからは、一人で出張の際には、ぜひとも居酒屋を探訪してみたいと思うようになった。

池波正太郎「食卓の情景」、新潮文庫

こういう老人の話は、私には何のためにもならないように思う。だけども、こういう本が書ける老人になることにはあこがれがある。

中島義道、小浜逸郎「やっぱり人はわかりあえない」、PHP新書

中島義道先生の哲学は、私も賛同する部分が多々あり、本もたくさん読んでいるので、これを見るまでもなく、どういう話かわかる。一方、小浜氏というのはこの対談(書簡のやりとり)を見て初めて知った。
小浜さんのほうがまっとうにも思えるが、もともと、大上段に哲学を論じるのは私は嫌いなので、斜に構えている中島さんのほうに共感を覚える。ただし、中島さんは、そういう共感を覚えたりされることが嫌いらしいので、どのようにしたらよいのかわからないが。
ともかく、哲学者の議論には入れないし入りたくもない。

2010年5月22日土曜日

池波正太郎「男の作法」,新潮文庫

うるさい老人の人生論みたいなタイトルの本ですが,実際その通りです.うるさい老人といっても,格好いい老人と,小うるさい・うざい老人とありますが,池波正太郎氏は前者の,大変ダンディな男性だと思います.
私も,こういう人の言うことに同調するということは老人と人生観を一にする,老人(になりかけ)の一人と言うことにもなるかもしれませんが,少なくとも,人に言う前に自分が実践していることがたくさんあって,それは男の作法にかなったことをしていると自負してもいいのではないかと思うのです.

2010年5月5日水曜日

筑紫哲也「若き友人たちへ -筑紫哲也ラスト・メッセージ」、集英社新書

いろいろといるニュースキャスターの中でも、一番気に入っていた筑紫哲也さん。

考えてもみてください。日本が自分たちの選択をしたいと思った時、自国の首都の首根っこを押さえるように、外国の軍隊が強烈な形で存在しているのですよ。(中略)
それで独立した国と言えるのか。そのことすら議論しない。これはいかにものを考えない国民であるとしても、そうとうノー天気じゃないかと思うのです(p.183)。

もし筑紫哲也がいま生きていたら、普天間の問題をどのように解釈されているだろうか。鳩山さんは、最初の勢いだけよくて、中折れしたけども、もっと突き詰めて、日本の安全を考えてほしかった。米軍って、外国の軍隊ですよ。鳩山を馬鹿にしている人たち、首根っこを米軍に締めあげられている日本を一緒にあざけ笑っているが、君たちも日本人でしょうが。確かに迷走は迷惑な話だが、それを笑ってすむ話ではない。

2010年5月3日月曜日

太田和彦「自選ニッポン居酒屋放浪記」,新潮文庫

なんだか,自分でも居酒屋を放浪しているような気分にしてくれる本である.
 この著者のようには,居酒屋のマスターや客と話をしたりすることは得意ではないので,余計にそういう気分がすてきな本である.
中でも好きだったのは,那覇の記事だった.自分が,沖縄が一番好きだからかもしれない.ああ,また早く沖縄に行きたい.

2010年5月1日土曜日

車谷長吉「世界一周恐怖航海記」,文春文庫

強烈な好き嫌いの持ち主である.特に嫌いなのが,弱い者の気持ちのわからない人間,権威主義みたいなもののようである.タイトルの何が恐怖なのかと思ったが,どうも船の中にいる千人ほどの人間恐怖のようだ.

貧しい人たちに横柄な態度を取る,傲慢な,醜い日本人.お口のすごい女たち.金の力だけを信じているのだ.ああ,厭だ.

この部分,私も共感できる.

2010年4月30日金曜日

青柳恵介「風の男 白洲次郎」,新潮文庫

こういう男を,男臭い男というのだろう.人にも国にも媚びへつらわず,言いたいことをずばり言う.アメリカにも,時の総理にも,そう言ってきた男だ.
そして,人には優しく,ポルシェを乗り回す.う~ん,男のロマンですね.

こういう男に私はなりたい~~なんちゃって.

2010年3月24日水曜日

白洲次郎「プリンシプルのない日本」,新潮文庫

とてもストレートに考えたことを発言してきた人ですね.
わかりやすいし,こういう人が,国際人というのだと思います.
鳩山総理にもそういう点で似た部分があると思うのですが,総理という立場からか,思い切った発言が最近とみになくなっているのが残念です.

2010年3月14日日曜日

武光誠「知っておきたい世界七大宗教」、角川文庫

キリスト教とイスラム教はそれぞれ他の宗教に寛容でなく、信者を広げることが宗教に忠実であることの証となる。
アメリカ人が狭い価値観で世界を席巻しようとするのも納得がゆく。そして、中東にたびたび戦火をもたらすのも宗教のゆえんである。
日本は、そのアメリカの片棒を担いではならない。あれは宗教戦争なのだ。日本には日本の価値観がある。

瀬名秀明「ロボット21世紀」文春新書

書かれてから9年。一度読み直したいと思って、再び手に取ってみた。
ロボットの研究が業績に結びつきにくいという点の指摘の話がある。
「「その頃、ロボットでまともな論文が書けなかった。何かモノを作っただけでは論文じゃなくて、せいぜい扱いは技術報告。・・・」p.173

今でもあまり変化はないような気がする・・・

2010年2月14日日曜日

外山滋比古「人に聞けない大人の言葉づかい」,中経文庫

言葉の問題を指摘している本はいろいろあるが,この本は,単に表面的な表現のみならず,物の送り方や外国語との対比,いろいろと感じるところがある.

2010年2月11日木曜日

石黒浩「ロボットとは何か-人の心を映す鏡-」,講談社現代新書

自分の娘のアンドロイドを作った人で有名なロボット研究だが,ご自分のもの「ジェミノイド」もあるのであった.

ロボットを作ることによって人間を研究するということは昔からよく聞いてきたことであるが,石黒先生の場合は,アンドロイドでよりリアルな「人間」を作り,研究をすすめている.
私は,ロボットに心がある(持てる)ということに否定的であったが,この本を読んで,自信がなくなってきた.それは,自分自身がロボットではないので,検証が不可能な命題であることに気づいたからである.
心といえる精神作用は身体と脳が複雑に絡み合って実現されるものだと思う.だから,今のロボットに心があるとは言えないだろう.しかし,将来はどうなのだろう.身体はかなりのものができてきている.う~ん.

2010年1月24日日曜日

川北義則「男の品格」,PHP文庫

「仕事上手になるには遊び上手になれ」
「自分なりの美学を持つことが大切」
「楽しくない人生なんて生きる価値はない」
などと,標語的な言葉が並ぶ本である.ご自分の理想を他人にもお勧めになっているのだろう.
ただ,どうも本を読んだり人に聞いたりした話が多く,実際の体験に基づくものではなさそうだ.

藤原正彦「国家の品格」,新潮新書

昔斜め読みしましたが,もう一度取り出して,読み直してみました.

論理の限界を自覚し,情緒と形を重視する姿勢は,自由と民主主義をも疑ってかかっておられます.
これは,一見,暴論とも思え,誤解を生む元とも考えられますが,これを書いたのは,米国や英国で長く生活経験があって,数学の教授である著者です.論理も百も承知,自由と民主主義も,いったんはあこがれを持ち,アメリカ帰りの時代には,アメリカに染まっていた人(失礼な書き方ですみません)です.しかし,イギリスに行って,それが変わったのです.そういう人の書いた物として注意深く読むと,その意図していることがかなりきれいに見えてきます.

誤解,さらには曲解をする人には読んでほしくない.そして,どんな話でも,心を開いて聞く心構えのある人には是非読んでほしい,そういう感じを持ちました.

2010年1月9日土曜日

林望「節約の王道」,日経プレミアシリーズ

昔から林望氏のファンで,ほとんどこの人の本は読んできました.次第に人生の本質に迫る記述が増えてきたように思います.

自分が死ぬ時を想って,そこからどう生きるべきかを考える.そして死がいつ訪れても後悔しないように,日頃から一生懸命に努力する.
無駄にしてはいけないのは,お金だけではありません.人が生きる上でいちばん無駄にしていけないのは,やはり人生の時間だと思うのです.
だからこそ,そのような後悔のない生き方をするということこそが,人生を無駄にしないという意味で,究極の節約なのかもしれません.

言ってくれますね.私もそう思ってはいるのです.ですが,行動が伴わない.そこがまだ悟りの境地に至らない者の哀れさです.

宇都宮浄人「路面電車ルネッサンス」,新潮新書

ヨーロッパでよく見かける路面電車.実は路面電車は世界的には「復活」中であるらしい.
決して広いとはいえないヨーロッパの道で,路面電車がこんなに走っているのはなぜかと思っていたが,それには採算を度外視した政策的な面もあるようだ.何もかもお金の価値でものをはかる現在の日本はおかしいのではないか?この本を読んで,ますますそう思うようになった.
また,この本の中で,「信用乗車」という言葉で説明されている乗車方法,ヨーロッパで路面電車に乗った人は知っているはずだが,検札は全く確率的に行い,通常は検札がないという乗車方法.多数の広い扉が使えるため,乗降がスムーズにいくので,路面電車には不可欠な方法である.
SUICA, ICOCAなどのカードが普及した今,信用乗車は無理に必要ないかもしれない.日本でも,路面電車の高速化は是非とも図るべきだろう.

2010年1月7日木曜日

藤原正彦「天才の栄光と挫折」文春文庫

ソーニャ・コワレフスカヤ.すばらしい美人で才女だったらしい.知らなかった.
こういう人に遭遇してみたい.相手にしてくれるかどうかは別として.

曾野綾子「日本人の知らない世界の歩き方」PHP新書

外国に行ったときの緊張感が,思い出される.そうだ,こういう感覚なんだよね.外国は.
とってもいいと思う,外国旅行の感覚.しかし,ずっと住みたいとは思わない.なんでなんだろう?
自分の感覚をよみがえらせてくれる本.

2010年1月3日日曜日

藤原正彦「日本人の矜持」新潮文庫

私に言わせれば,朝起きてから眠るまで,1ページも本を読まないという人は,もう人間ではない.ケダモノである.人間とケダモノの違いは,本を読むか読まないかなんです(p.75).

いいこと言ってくれるね.本を読まないと知的な能力が退化するのではないかと思う. 


インターネットの2ちゃんねるという掲示板もひどいらしいですね.悪口の言い放題で,しかもすごく下品な言葉らしくて.そもそも人間の持っている醜い部分というのは,本来隠すべきでしょう.今はそれをどんどんはき出してよい世の中になってしまった.(p.224)

この部分,全く同感. 

はじめに

本はたくさん買っていますが,多くは積ん読になっており,あるいは,せっかく読んでも忘れてしまいます.
備忘録の意味で,ここにメモを残していきたいと思います.